東京動物園協会 野生動物保全基金 報告講演会 内容メモ

上野動物園で開かれたタイトルの講演会を聞いてきたので、講演中に取ったメモを公開。
ちょっとだけ直すけど基本たれ流しだよ。
聞いてきてよかった!

1)京大霊長類研 辻大和さん マレーヒヨケザルの未来に向けて -現地調査による基礎生態の解明-
主な調査対象は霊長類(カニクイザル、ルトン等)
ヒヨケザル ぶら下がると巾着のような姿、目が大きく吻が長い
皮翼目 1科2属2種(もう一方はフィリピンヒヨケザル)
全身に広がる六角形の皮膜で滑空する 速くて撮影は困難 コウモリを除くと最も長く滑空できる哺乳類
樹皮によく似た毛皮で隠蔽擬態する 見つけるのは難しい 意識して見ること このため研究が難しい 大きな目は滑空能力に関連? 鳴き声も立てない
サルと比べのんびりと食事する 前肢は皮膜の支えに徹しているため食事に使わない
他の哺乳類との関係は? ツパイ以上に霊長類に近縁 プレシアダピスあたりから進化
東南アジアの平地~高地 基本的な情報も不足している 餌は?活動時間は?好む場所は?
IUCNレポートでは低リスクだが情報量の割に生息地の開発が進んでしまっている
ジャワ島バガンダラン 漁師とビーチリゾートの町 他に生息している生き物…カニクイザル、ルトン、センザンコウ、ルサジカ、大型リス、オオコウモリ、ヤマアラシ、サイチョウ、ラフレシア、イチジク(動物の食料源)
気温は常に25℃程度だが降雨量が変動
調査地は自然保養林 観光客も入っていい もっと広い自然保護林もある
グリッド分けしてひとつずつ植生調査していく 保養林は二次林 1本ずつ木の大きさを記録していく 27.7haに132種 上位10種が半分を占める単純な林
ヒヨケザルの位置、個体数、利用している樹種を記録
休息に33種の樹種を利用 ほぼ単独行動 複数いるときに何をしているか不明
8種の木と1種のツルの葉(主に若葉)、たまにイチジクの実を食べる 他の動物と食物がかぶる どう食べ分けているのか
特に好む樹種がある(生えている数の割に利用する率が高い)
よく生えているのより高い木を好む 遠くに逃げられるように? 高木は孤立している(高い木が1本あり他の木は全て低いというところを好む)ので敵を避けられる?
サルの調査が終わる夕方にヒヨケザルが行動し始める 両方調査できるように一日の調査スケジュールを立てるのが難しい
排泄するときの行動 尾の皮膜を背中に沿って真上にめくり上げる 糞はよく消化されている 内容物の分析はこれから
他の動物といるときもその動物はヒヨケザルに気付いていない
大きな黒っぽい木の実の横にぶら下がることがある わざと自分を木の実に似せている?
5頭連続死 なぜ 死体を調査 前肢が完全に皮膜の支え(モモンガ以上に徹底) 非常にスリム 手足は舵 櫛状の前歯 樹脂をかき取る?夜中の行動が知りたい
死因と外的要因の関連を調査中 リゾート開発のせい? 大きなホテル建設のため林が切り開かれた
調査のため捕獲許可 発信機(この購入費に基金を利用)を取り付ける 5グラムの軽量なもの 夜中の行動(位置)が分かる
成果は論文に 「どうぶつと動物園」にも掲載
理解・支援のお願い

2)四国自然史科学研究センター 山田孝樹さん 四国のツキノワグマを絶滅から救うために -遺伝子による血縁鑑定-
センターは2003年に設立
四国のツキノワグマは絶滅に瀕している 四国では他の地域(ヒトとの摩擦)と状況が異なる
植物中心に雑食 季節ごとに多く手に入る植物を食べる 地域や年ごとの状況によっても変化
東北~近畿の生息地はつながっていて安定している それより西は分断されていて個体群によっては絶滅のおそれがある 5つの個体群が環境省レッドリスト掲載
かつては四国の広い地域に生息していたが1940年代には東西分断 70年代~81年には西部個体群が途絶える 現在は徳島・高知県境の剣山系のみ
2003年の聞き取り調査→2010年代のカメラ等による調査 周辺部の例がなくなった
本州では拡大しているのと違った状況
96年時点で50頭未満 ここ10年で10数頭 最も危機的な地域個体群
減少した理由 生息環境の減少 造林として利用が多い 江戸時代には切り尽くされていた 人里近くは人工林 森林率は高いが人工林率も高い 自然林と違ってスギ・ヒノキばかりで餌が少ない
害獣としての駆除 木の皮をはいで形成層を食べ木材としての利用価値を失わせるため 70年代まで捕獲数増加 80年代に減少し捕獲禁止へ
保護の取り組み 86年以降順次捕獲禁止へ くくり罠の禁止または輪の直径の規制 レッドリスト指定 鳥獣保護区に 
保全に必要な情報が確認できていない 近親交配はどうか 個体数が少ない→近親交配→ますます絶滅しやすく
四国では近親交配は進んでいないが個体数自体少ないので注意が必要
今後も情報の収集と啓発を進める
※論文出版前なので詳細は掲載不可

3)都留文科大学 西教生さん ノジコの繁殖環境を探る -山梨県・長野県・新潟県での調査-
富士山北側が調査地
これまでの研究:イワツバメの生態 ホシガラスの貯食行動(ハイマツがないのになぜホシガラスが→ゴヨウマツの種を集めて貯蔵している) 渡り、種子散布、分布
ホオジロ科ホオジロ属 日本には20種強 アオジ(ノジコと特に近縁)などは都市にも生息している
ノジコ 繁殖は日本のみ 目の周りにアイリング クチバシは鉛色 アオジは目の周りが黒い
主に本州・長野辺りより北東で繁殖し冬には東南アジアで越冬する
山梨にもいくつか繁殖地がある
さえずりは枝の上など目立つ場所で行うので目視調査のチャンス アオジとの区別に気をつける(鳴き声の違い)
疎林、林縁、二次林、沢筋、藪地、草原に生息
山梨ではカラマツ人工林に生息 針葉樹の人工林は多様性低いのになぜ?→2012年5~6月調査(繁殖にともなってよくさえずる時期)
28ヶ所でさえずりの有無を記録 植生はカラマツ林、アカマツ林、混合林
10ヶ所で確認 4ヶ所はカラマツ林 他の環境は1~2ヶ所ずつでいずれもアカマツかカラマツが生えているところ 標高1000~1470m
5ヶ所で植生構造を詳しく調査 (繁殖環境…繁殖に適した環境があり、またさえずりが確認できた場所 と定める)
行動圏の中になわばり(さえずる範囲)を含む 行動圏は他の個体と少し重複するがなわばりは重複しない
なわばり範囲の植生構造 高木の被度65%(カラマツ、アカマツ、モミ) 長野では高木層はハンノキになる 新潟の湿地にある二次林では高木層10%(スギ) いずれも草本層の被度が80%以上
山梨では森林、長野と新潟では疎林で繁殖している
針葉樹の植林地でもノジコの繁殖地になりうる管理手法があるのではないか
伐採のスケジュールの立て方はどうするか
本来の繁殖地はどのような場所か

4)岐阜大学 楠田哲士さん ツシマヤマネコの繁殖生理 -保全に向けた試み-
学生時代に飼育員を目指し実習(アジアゾウなど) 繁殖に関する研究を志す
動物繁殖学研究室 園館との共同研究と淡水生物の域外保全
主に陸生哺乳類を対象とする 鯨類と鳥類も(以前の講演会ではライチョウについて発表)
フンと行動から性周期を探る
動物の繁殖戦略を理解するに当たってデータが不足しがち 家畜では生産のため、動物園動物では保全と展示のため 偶然ではなく計画的に繁殖させるという点では家畜も動物園動物も同じ
キリンの研究例
初来日から110年 初繁殖から80年
フンと行動を調べる→排卵などの時期を判断→妊娠の判断→出産日の予測
採血を行うと動物に負担がかかり作業上の危険もある ストレスで繁殖周期が止まったら本末転倒 → 排泄物に含まれる性ホルモンを調べてはどうか 妊娠検査薬の原理 尿は難しいのでフン
キリンの排卵周期は2週間 フンに含まれる性ホルモンから性成熟、排卵周期、排卵状況を読み取れる この手法は普及しつつある
ツシマヤマネコではどうか 
ツシマヤマネコは環境省の保護増殖計画にある
島の面積は奄美>対馬>淡路島 
現在推定100頭 この先10年で絶滅しかねないが減少速度はゆるやかに減速 対馬の生態系の頂点に立っているため基礎を守らないとツシマヤマネコも守れない
96年に捕獲が行われ福岡市動で飼育が開始 追加で捕獲された個体により99年に繁殖成功 2006年以降全国で分散飼育することで感染症や災害のリスクを低減 現在11園に 第一拠点は福岡市と九十九島
繁殖生理を園と共同研究 発情兆候を捉える指標の確立(ホルモンと行動の照らし合わせ) 妊娠の判定方法
雄の性成熟 テストステロンで判断 性成熟に伴って変動が大きくなる
雌の排卵と妊娠 全ての個体で判定を行っている
交尾排卵動物なので交尾後排卵していたら成功、妊娠の推移を見ていくが失敗していたら次のペアリングを行うという判断基準に
トラやチーターと比べ難しいので別のホルモンを見る
ヤマネコ祭などでチャリティーグッズを展開

第12回アクアリウムバスに出店します

アクアリウムバス公式サイト

3月19日に浅草で開催です!

出品物は以下のとおりです。まあおおむねいつもどおり。

古生物飼育連作短編小説「Lv100」第一集~第五集 文庫サイズ 1冊500円
Lv100バックヤードツアーガイドブック 文庫サイズ その1・その2 100円 その3 300円

チャリティー
三葉虫カンバッジ 4種 1個100円
ブックカバー 文庫サイズ 5枚まで何枚でも100円

今回の頒布物に関する新しい点は以下の2つ。

・本編の価格
会計の労力の削減その他の理由で今回から本編が一律500円になりました。第二集以降をいずれ購入しようと思っていたかたすみません!

・チャリティー
昆虫大学のとき同様JAZAの野生動物保護募金に。
カンバッジに加えて念願のブックカバー。これもまあ1枚10円とかだと会計になったもんじゃないのでブックカバーにしては…という価格設定になってしまったけれど。
DSC_0132.jpg
絵柄らしい絵柄はないけどチタン製の「始祖鳥堂書店」ハンコを捺します。高級印鑑用に象牙が浪費されるのに反発してチタン製ハンコを発注。その場でカバーのどこにでも何個でも捺します。頼まれれば絵とかも描くかも。画力はお察し。

だいぶ告知が遅くなりましたが昆虫大学(横浜)以来、つまり東京では初の第五集の頒布ということで、よろしくお願いします!
2017年03月12日 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

Lv100 第四十四話掲載

載せたのは昨日だけど記事を作ってる時間がなくて。
生態系の中でも景観としても植物は重要なのに第四十四話にしてようやく主役になった。実際書きたいと思える古植物自体今回のハボロハナカセキ以外そんなにないし…まだあんまり知らないからね。
そもそも豊橋で初めて見かけてからハボロハナカセキはずっと気になってて、ハボロハナカセキの話を書いてみたかった。近縁の現生モクレンも好き。
地味なのが3話続いたけど書きたくてやってることだし次は恐竜か翼竜かどっちかなので安心してほしい。
今回もよろしくお願いいたします。
四十四話(サイト)
四十四話(カクヨム)

前回まで施設に関する解説をこっち、古生物に関する解説をツイッターでやってたけど、分けるのが面倒だしツイッターでやたらツイートが長く続くのもなんなので(宣伝効果は高まる?)両方こっちで。

Lv100 第四十三話掲載

若干ペース遅れ気味。これもホントは時期的に年末に出したかったんだけど…どうでもいいけど。
昆虫大学用の特別コラムに書いたとおり三葉虫とウミサソリの鍋を出してやろうってことで。前半の水族館にもウミサソリ出すはずだったんだけど、というより水族館はそっちメインになるはずだったんだけど、導入のつもりで入れた部分が膨らみすぎちゃってウミサソリはまた今度ということに。またラーガシュテッテ再現モノになるんだろうなー。大変だなー。
でその前半部分、どこかの水族館にクラゲでやってほしい展示を古生物でやるならってことで遊泳性三葉虫に。色々分かって面白かったけどテレフィナ科のちゃんとした化石が少なすぎてどうもねー。しかしテレフィナ科なら今回の「ぼくのかんがえたさいきょうのてんじ」にぴったりなので。誰かマジで作ってこれ。クラゲでいいから。
今回もよろしくお願いいたします。

四十三話(サイト)
四十三話(カクヨム)

プラネタリウム・カフェ 改訂版掲載

昆虫大学用に改訂してあったやつをせっかくなので。昆虫大学ではコピー誌を100円で出してたけどまあ…印刷費なので…今後もイベントの前に声をかけていただければコピー誌を作ります。
セリフの調整、第一話の時点で謎を提示するようにしたこと、発端とオチのギミックが別々だったのをなんとかしたことあたりが主な変更点です。
基本的にはそんなに変わってないですが、よろしければ。
第一話
カクヨム作品ページ

ところでなんだかんだ言って1ヶ月記事書いてなかったから広告出ちゃってたし11月ごろから行ってたところについての記事書いてないけど、そっちもそのうちなんとか。
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